相談事例集_202111
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75 相談事例7-③ 娘に全財産を相続させる低コストな方法 【相談内容】 80歳後半を迎えてそろそろ相続の準備をしたい。妻は既に他界、娘と息子が一人ずついるが、息子には留学費用や、事業資金等を今まで十分過ぎるくらい援助してきた。自宅不動産を含め全財産を娘に相続させることが公平だと考えているが、コストをあまりかけずに実行する方法としてはどのようなものがありますか。 【相談回答】 遺言の活用はいかがでしょうか。遺言の内容は基本的に自由に記載できます。娘に全財産を相続させる内容で遺言を作成することができます。その際、なぜそうするのか理由を具体的に付言する等、息子が納得しやすくする工夫は必要かもしれません。 ただし、遺留分(※)に反する部分については、残念ながら強制力がありませんので、最終的には一部の内容が実現できない結果となることもあります。それでもご自分の意思を明確にする比較的簡単な方法として検討すべきと考えます。 遺言というと、心理的抵抗がある方も多いようですが、実際には守るべき形式的なルールは思ったほど多くなく積極的な活用を勧めました。 せっかく作成した遺言が無効となっては意味がありません。作成方式としては、①自筆証書遺言や②公正証書遺言等があり、①はその名の通り遺言者が自ら作成、②は遺言者が口述した内容を公証人が聴き取り記録する形です。費用は数万円かかりますが、一般的に確実性が高いとされるのは②です。①でも作成後、法務局が保管する制度が近年始まっており、保管料3,900円と安価な割には利用価値が高いと思います。

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