56 3.民法について 民法には建物を築造するには境界線から50㎝以上の距離を保たなければならないと言う規定があります。(234条1項) そして、規定に違反して建築しようとしている場合、隣地の所有者は,建築の中止または変更を請求できる(同2項)という規定もあります。この解釈ですが建物の外面から境界線までと解釈となります。 そこで、最近問題になっているのが室外機の設置方法です。例えば、エアコンの室外機の多くはコンクリートブロックを台に設置されるケースが多いのですが、結果簡単に動かすことが出来るので問題になりません。しかし、ガス給湯機やエコキュートなどと呼ばれる機器は貯湯タンクなど機器が大型化していてしっかりとした基礎工事をするのが一般的です。つまり、建物の一体化した基礎があるので建物と一体化したと解釈され50㎝離す対象に解釈されるケースもあります。また、室外機を外壁に取り付けた場合も、出窓など同様に建物の外面と解釈もある訳で微妙なのです。 さらに、民法と建築基準法の問題があり、民法では異なる慣習があるときは、50㎝に拘らずその慣習に従う(236条)と言うのがありますし、建築基準法では用途地域の第一種、第二種低層住宅専用地域を除き、境界線に対して建築物はどこまで、という決まりは無く、建物敷地いっぱいに建てられます。(48条) 4.設備機器設置基準と点検問題について 例えば、エアコン室外機は外気によって熱を逃がす装置ですから、空気の流れが無ければ故障の原因になります。つまり、室外機は,その効率を確保するために機器周辺の空間を定めているのが普通です。また、室外機も経年劣化等で故障しますが、点検のための空間も必要です。この空間が確保できなければ機器は早く故障する原因になりますので注意が必要です。 以上のように、建物を隣地境界線ギリギリにするのは問題なのです。
元のページ ../index.html#57