相談事例2-① 賃貸住宅の原状回復費用の支払い 15 【相談内容】 築20年の木造アパートに4年間入居していたが、今般転勤に伴い退去することになった。退去に際し貸主から台所の故障した給湯器の取り換えと台所の壁クロスの油汚れがひどいので全面張替え費用を請求された。払わなければいけないものか。契約書には「借主は退去に当たっては原状回復しなければならない。」とあります。 【相談回答】 賃貸住宅の退去時の原状回復費用の負担については、「経年劣化・通常損耗」は貸主負担、「借主の責任によって生じた故障、汚れ」は借主負担という原則があります。お尋ねの給湯器については、通常の使用によって故障したのであれば既に耐用期限が到来していたとも考えられます。また油汚れについても、余程手入れが悪く通常の清掃では拭き取れないという程度のものでない限り「通常損耗」とも言えます。但し、あなたが自己のものと同じように注意深く使用していたことが前提です。 また契約書の文言は、原状回復の範囲や特約を決めたものでもありませんので捉われることはないと思います。どちらにしても、貸主とよく話し合いの上場合によっては、一部費用を負担することも排除できません。 【補足説明】 賃貸住宅の原状回復にかかわる紛争が大変多いことから、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」、東京都「賃貸住宅紛争防止条例」等によって細かく原状回復費用の負担についての基準を解説しております。
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