山本博史さん師宿として60年以上前に始めました。養殖は父が30年ほど前に始めた事業です。内浦湾は水温が下がりにくいので養殖には向いている地域でした。 ただ、台風の時期だけがいつも心配です。湾は北東に向かって海が開けているので、北東から吹く風がいけすに大きな影響を与えます。九州などのいけすは漁場の移動ができるんですが、ここはその場所がないから耐えるしかないんですね。 若狭ふぐはこの30年で名物になりましたが、冬の時期のみの需要で、全国どこでも食べられる美味しい高級魚のイメージが定着しました。だから次のチャレンジとして、一年中提供できる「若狭まはた」を手掛けるようにもなりました。〝まはた〟は見たことも聞いたことも食べたこともない方が多い。見た目はのっぺりとした顔立ちですが、食べると味が絶品で。 初めて食べたとき、脂の香りがとてもよくて、熟成させるともっと香りが回って柔らかくなりますが、ここは田舎の漁師町です。田舎は田舎なりのまはたの魅力を出そうと、水揚げしてすぐに提供する新鮮さで勝負しています。だから姿造りで提供も幸』は漁師だった祖父がその日に揚がった魚を提供する漁できますし、脂の香りとコリコリ感が楽しめますし、鍋にすると風味をもっと感じられます。地元の醤油を使っているからかもしれませんし、魚自体の味もありますが、お客さんからは「甘い身が絶品」との声をいただき、一度食べたら必ずリピートされます。ゆくゆくはふぐとまはたを使ったプランを考えたいです。日引地区には3人が養殖業を営んでいて、みんなで協力しながら切磋琢磨して育てています。3人でチャレンジすれば全体の出荷量も確保できますし、その分まとまった商談も可能ですから。まだ漁場としては空いているので、次の担い手が来てくれるとうれしいですね。1970年生まれ料理旅館「由幸」3代目[養殖] フグ・マハタ・イワガキ若狭まはた『由田舎ならではの味で勝負!11牧野さん、山本さんたちは日引地区で切磋琢磨しながら育てている育てる人
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