06住宅ローンアドバイザー通信①新規借入や借換えの場合、変動金利型は住宅ローンの返済額は相対的に少ないが、金利が上昇すると、返済額が大きくなる恐れがある点。②一般的に、金利が上昇するときは借入期間の長い金利から上昇するため、金利上昇が始まってから、変動金利型から固定金利型に変更しても遅くなる点。③将来の金利上昇を予測するのは難しい点。そこで次に、変動金利型の住宅ローンの利用者が、このような問題点や将来の不安について事前に備える3つの戦略をご紹介したいと思います。①「変動金利型」または「組合せ商品(ミックスローン、固定期間選択型)」を選択する。 ⇒金融理論では、メリット・デメリットが相反的な場合は組み合わせるとよい。 ⇒全期間固定金利型よりも、月々の返済額が低く、ローン残高も早く減るメリットを享受する。②固定金利型を契約した気持ちで、(少なくとも)返済額の差額分を預貯金等で積み立てる。③金利上昇した際に、積み立てた預貯金を繰上げ返済に充てる。 ⇒さらに、繰上げ返済を後ろ倒しにして住宅ローン減税のメリットも享受する。6金利上昇した場合の借換えと繰上げ返済の選択 住宅ローンの商品選択における悩みは、変動金利型で借りた際に金利上昇に耐えられるのか?ということだと思います。もう少しみていくと、以下のように問題点を整理することができます。7「借換え」戦略の経済的な効果 変動金利型の住宅ローンの金利変動リスクへの対応策として借換えが考えられますが、一般に、借換えが経済的に効果をもつ場合は、優遇金利幅が十分拡大する局面です。つまり、基本的には金利低下局面で固定金利型から固定金利型への借換え、変動金利型から固定金利型に借換え、または組み合わせ商品に借換え、固定金利型から変動金利型に借り換える場合です。 逆に、金利上昇局面でもうまくいく方法として、変動金利型から変動金利型への借換えで、期間選択型で借りられた方は特に、固定金利型期間が終了すると固定金利幅(優遇金利幅)が縮少することから、優遇の終了した後の金利を選択するよりも、この時点における変動金利型へ移行するケースが多いと考えられます。今借りている変動金利型の水準が十分高いのであれば、有効な戦略になりうる可能性と考えられます。 ただし、借換えに必要な手数料を含め総返済額が少なくなるか検討することが重要です。借換えの場合通常事務手数料として2.2%の手数料や(金融機関による)、他にも抵当権等にかかる各種手数料(約30万円)がかかります。これらを考慮しても効果的で有効なのか考える必要があります。また、住宅ローン残高も返済期間も十分残っているのであれば、借換えが有効になることも考えられます。 以上を考えると、金利上昇局面では通常は固定金利型の方が早く金利が上昇するため、借換えの経済的な効果は乏しく、「金利が上がったらどうしよう」という不安の解消に留まるといえます。8まとめ 昨今の住宅ローンの適用金利が低い水準で推移しているなかで、日本銀行の金融政策の一部修正もあって、変動金利型と固定金利型の金利差が拡大しています。このため住宅ローン利用者は、金利のより低い変動金利型の住宅ローンを選択する傾向が高くなっています。 変動金利型か固定金利型かの選択は、利用者のリスク許容度に応じて選択すべきで、リスク許容度が低いほど、利用者は資金余力の拡大など、戦略的な備えと家計の見直しが重要となります。 仮に、将来の金利上昇に備えるには、借換えよりも、繰上げ返済で対応する方が効果的と考えられます。一般に金利上昇局面では、変動金利型から固定金利型への借換えは経済的な効果は難しくなります。 最後に、住宅ローンは、あくまでも住宅取得という目的を達成するための手段としてとらえ、安心して家族と自分の住宅に住みたいという目的のためには、金利変動があっても最低限の住宅ローンのリスク管理が求められるということを認識することが重要です。
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