株式会社 ニッセイ基礎研究所金融研究部 金融調査室長福本 勇樹 Fukumoto Yuuki〇2005年大手信託銀行に入社〇2014年株式会社 ニッセイ基礎研究所 入社(2021年7月より現職)金融市場・決済・価格評価などを専門領域として、分析・調査・情報発信。住宅ローン等の金融領域における委託調査案件などを担当。金利市場や金融リテラシーをテーマにした書籍、論考、テレビ出演など多数。資料:みずほ銀行※2023年6月時点金融機関の住宅ローン商品説明書の抜粋(例:みずほ銀行)〜借換えと繰上げ返済等への備え〜1標準的な住宅ローンの金利決定方法のメカニズム 住宅ローンの適用金利は店頭金利から、固定した優遇金利幅(割引)を差し引いたものになります。「多くの金融機関は住宅ローンの金利決定に長短プライムレートを参照する」といわれています。短期プライムレートは、無担保コールレート(翌日物)の影響を強く受けるといわれています。長期プライムレートは、みずほ銀行が独自に決定したものを日本銀行が公表・掲載しています。 右の表はみずほ銀行の事例を紹介したものですが、みずほ銀行の住宅ローン商品説明書の中に「新規の借入時の金利」と「借入後の金利の見直し」について、どのように決定しているのかについて説明されています。新規の借入時の金利の決定についてみると、赤囲みの部分に短期プライムレート連動という言葉が入っていますので、みずほ銀行は、変動金利型の金利を決定する際に短期プライムレートに連動していると説明しているということです。一方、固定金利選択方式については特に記述はありませんが、みずほ銀行が独自に決定するというように書かれています。 日本銀行は、2022年の12月に続き2023年7月、10月にも、金融政策の一部修正を行うなど、今後の金利動向が注目されています。一方、インターネット型の金融機関では変動金利型の金利競争もさらに激しさが進んでいます。こうした動向を踏まえ、住宅ローンの金利決定メカニズムを解説し、また、仮に、金利上昇の可能性があるとした場合、住宅ローン利用者が想定しておくべき備えについても解説します。※なお、本稿は2023年度住宅ローンアドバイザーセミナー(web開催)の概要をまとめたものです。 住宅ローンの金利決定メカニズムと金利上昇への備え特集
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