教育旅行年報データブック2024_S
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50.5%50.5%49.5%49.5%600%主なコメント13.4%13.4%12.1%12.1%12.1%12.1%2023年度2023年度216件216件2019年度2019年度313件313件13.4%13.4%20304050グラフ-14 受入れ要請元(複数回答可)来訪校自治体・観光協会10.5%10.5%10.6%10.6%教育委員会訪日教育旅行受入協議会など7.4%7.4%旅行会社3.7%3.7%5.8%5.8%9.3%9.3%その他10※訪問件数を分母とした比率を表記※「その他」は、姉妹校関係、地元自治体、友好親善関係協会など表-16 訪日教育旅行の課題と問題点項目受け入れるスケジュールがタイトである。来訪校との連絡調整。特に予定変更などへの対応。文化による、食の制限など。ホームステイを要求されるが、ホストファミリーを探すのが困難だった。ホストファミリーになってくれる生徒集めが難しく、特に男子生徒が少ないため、男子留学生の受入れ対応に苦労しています。既存の授業に参加する形での留学生の受入れを短期で行う場合、特別な対応をしなければ留学生が疎外感を感じやすいこと。来訪した生徒の健康面の管理。病気等時の対応。経費の上昇。学校予算からでは費用を出す出所がないこと。受入れ要請機関にも予算がないこと。日程の融通がきかないこと。今回の受入れは、卒業生の依頼で初めて受入れをしました。本来の予定の受入れがなかったので(本校が毎年受け入れている姉妹校は、コロナの影響で国外に生徒を出せないとのことで受入れがなく)。相手国・相手校の事情に左右されてしまいます。相手校の生徒にとっても、本校生徒にとっても、異文化理解ができたので、有意義でした。可能ならば、双方にとって良い刺激になるので続けたいところです。課題は、どうしても人数と場所に限りが出ることです。特定の教員が対応せざるを得ない状況があり、どのように広げていくかが課題。受入れに関する教職員負担が大きい。授業の組み換え。準備。職員の理解と協力。日程調整受入れ準備来訪時対応経済的負担その他ており、その代わり「自治体・観光協会」からの要請が微増となっている(グラフ-14)。⑥課題と問題点 訪日教育旅行の課題と問題点については、全部で23校からコメントがあり、表-16では内14件を抜粋した。 コメントの内容は、コロナ禍前と同様のものが多い。日本の学校に比べて依頼や決定が遅く、変更も多い来訪校の日程との調整の難しさ、特に姉妹校交流のケースと思われるが、受入校でのホームステイを受け入れてくれる家庭の確保の難しさなどについてのコメントがある。また、宗教上の理由と思われるが、食事についての制限のコメントもある。受入れ・交流に必要な経費の出所がないというコメントも、コロナ禍前と同様に見られる。教職員の負担の大きさや、受入内容によって授業の組み換えなどが必要なことへのコメントもあった。ア 2023年度の動向について 2023年4月末には、日本入国に際してのコロナワクチン接種証明などの提出が不要になり、3年ぶりに制約なく入国できる状態に戻った。円安の進行や日本発着の国際線の復便なども後押しし、2023年の訪日外客数は暦年ベースで約2,507万人と、2019年(約3,188万人)の78.6%にまで回復した。月別では10月に初めて2019年同月の人数を上回ってからほぼ毎月上回っており、2024年に入ってからも、過去最高だった2019年を上回るペースで推移している。 そうした状況も受け、今回調査では訪日教育旅行受入校が172校(国公立78校、私立94校)と2019年度の207校(国公立113校、私立94校)にかなり近い数字となっている。2019年度は公立の受入校数が私立より多かったものが、今回は逆転しているが、私立に多い姉妹校関係での相互訪問が、状況を受けて早々と復活したという要素もあるかと思われる。 こうした復活状況は、日本からの海外教育旅行の実施校数(今回調査383校、2019年度537校)が約7割の戻りであるのに比べて、回復が進んでいる。イ 今後の展望 コロナ禍以降、円安の進行や旅行費用の高騰、燃油サーチャージの高止まり、さらに公立学校の修学旅行費用の上限設定など、さまざまな要因が重なり、日本の学校の海外教育旅行の実施が困難な状況となっている。海外での国際交流の機会が減少する中、国際理解教育の推進という観点から、訪日教育旅行を受け入れる意味・価値はますます高くなっている。来訪国側でも、漫画やアニメなどのサブカルチャーに代表される日本の文化に関心を持つ生徒は非常に多いと言われており、来訪校数は今後、コロナ禍前を超える勢いで増加していくのではないかと思われる。 コロナ禍前から継続して海外の学校と交流している学校や、日本国内各地で訪日教育旅行受入れに関わってきた行政や観光協会などの受入関係組織で、コロナ禍の中でもオンライン等で交流を継続し、そのノウハウを積み重ねてきた例は多い。この経験は、通常時の学校間交流をより深めることにつながっていると考える。 海外からの学校受入れに当たっては、訪問国側からの依頼や日程決定の遅さ、変更の多さなど、難しい要素は多い。しかし、受け入れた結果として、その苦労を上回る価値があると考える学校は多い。より多くの海外からの学校が、日本の地方も含めた各地を訪問し、学校で同世代交流を行えるよう、学校、そしてそれをサポートする関係諸機関の継続的な取り組みをお願いしたい。36  教育旅行年報「データブック2024」(2)2023年度の総括と今後の課題・展望

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