経済的負担旅行先・旅程その他安全・健康管理教育的効果表-12 国内修学旅行の課題と問題点項目【中国・公立】教師の身体的・精神的負担が大きい。【東北・公立】 参加できない生徒がおり、事後学習のまとめ作成の際に他の活動を考えるのに悩んだ。【四国・公立】コメント台風の影響による荒天時の安全確保のための情報収集が難しい(台風の影響によるJR運行状況の把握ができなかった)。台風等による想定外のことが起きたが、JR列車運行の遅延による返金及び各種保険等の対応内容など、事前に確認が必要となる項目を整理しておくべきである。【関東・公立】安全優先のための公共交通機関運行中止による日程変更のリスクが高くなっている。【近畿・公立】年間を通じてコロナやインフルエンザの感染症に罹患するリスクがあるので、現地で生徒が罹患した場合保護者に迎えに来てもらえやすい行先にする必要を感じる。【近畿・公立】アレルギーや生活習慣によって個別対応が必要な生徒が増えているため、従前の引率より多岐にわたる配慮を要する点。【中部・公立】班別自主行動中のアレルギー対応食に配慮することが大変だった。【中国・公立】コロナ禍が明けて、やっと全ての行程が制限なくできるようになって、生徒もとても満足できた旅行になった。【関東・公立】行事が立て込んでいて、学んだことの共有に十分に時間をかけることができなかった。【東北・公立】様々な体験活動を組み入れてみたが、どの位の効果があるか、今後検証していきたい。【九州・私立】USJを計画したが、修学旅行の目的から外れてしまい、遊戯の側面が大きく出てしまった。【関東・公立】あらゆることが便利に安全にマニュアル化され、その良い面もあるのだが、子どもの自主性や創造性を育む行事として見直していきたい部分も感じる。【中部・私立】学年の個性により実施内容を多少変更しているが、定番となってしまった感があり、新トレンド、社会貢献、ボランティアなどの体験をさらにプラスできないが考えている。【九州・私立】貸切バスやJR等の交通費やホテル宿泊代、体験活動代の値上がりにより、修学旅行費が高くなっていること。国や県などが補助をしてくれるとよい。【中部・公立】旅行会社の選定。バスの運賃など費用の高騰により、修学旅行の限度額の中で活動にかかる金額を抑えたり、食事の内容を変更するのに頭を悩ますこと。【近畿・公立】必要経費の値上がりにより保護者負担額が増えてきていること。【関東・公立】宿泊費高騰による修学旅行費の増加が保護者負担の増加につながるのではないかと懸念している。東京以外の場所を検討した方がいいのでは、という意見も校内では出始めている。【中部・公立】インバウンドのために外国人観光客が非常に増え、宿泊費、交通費共に物価上昇に伴って、修学旅行の見直しや廃止を検討すべき状況になってきている。以前のように旅行に行くことが難しい時代ではないし、保護者が学校が決める行き先に不満を言ってくることも増えたので、修学旅行としての目的を考え直す時期に来ている。【九州・公立】物価高騰による費用の高騰。今後は航空機を使う修学旅行は難しいと感じた。【中部・公立】場所によっては観光客による混雑がひどく,思うように道を歩けないほどだったので,今後の訪問先にするか検討が必要だと感じた。【中部・公立】1日目の飛行機の時間が遅い時間しかなく、1日目が実質何もできない状況である。【中国・私立】実施時期をJRの料金設定が安くなる時期に合わせないと費用が高くなるため、実施時期が限られてくる。【九州・公立】大規模校の受入可能な宿泊施設に限りがあるため、どうしても行き先も限られてくること。【中国・公立】外国人観光客の増加の影響で、修学旅行のための宿の確保が難しい。生徒指導の観点から1校全館貸し切りが望ましいが、それに応じてくれる宿が少なくなっている。【関東・公立】奈良・京都ともに(特に、京都)、外国人観光客が激増して、公共交通機関を使っての班別活動は困難であると感じた。【関東・公立】多様なコース設定に対して、担当する教員の人手が足りない。【東北・公立】本校は小規模校のため、令和7年度の行き先を検討する際、業者に断られた。コロナの影響で旅行業の変化が著しく、今まで通りに計画が立てられなくなった。教育旅行年報「データブック2024」 11について、旅行中に罹患した生徒や保護者への対応や、旅行直前まで学級・学年閉鎖のため事前の取り組みが不十分になったことなど、その対応に苦慮されたことも出ている。アレルギー対策については、対応が必要な生徒の増加や、班別自主研修中の食事内容のチェックが難しいことなどがあがった。アレルギー対応では、誤配・誤食といった最終の確認不足による事故も多く、目視による複数でのチェック・確認が重要となる。宿泊施設や食事施設の人材・人手不足もあり、今後も保護者、旅行業者、宿泊施設等との連携を深め、安心・安全な修学旅行の実施を目指していく必要がある。 「教育的効果」については、コロナ禍が明けて、やっと修学旅行が制限なく実施でき、生徒も満足できた旅行になったというコメントがあり、無事実施できた学校が多かったと思われる。それでも、多くの学校で実施している班別自主行動で、見学・体験内容に差が出てしまうことや、事前・事後学習の時間が十分に取れなかった反省があげられている。体験活動については、今後その効果を検証したいという意見や、修学旅行の教育的意義の観点から、総合的な学習との関連づけ、探究活動の実施、体験内容の充実などを考えたいという意見も見られた。修学旅行での体験活動は、学校や家庭ではできない特別な経験であり、学校、旅行業者、受入地の協力によって、体験プログラムの開発、充実を目指し、教育効果の高い取り組みを継続してほしい。 「経済的負担」についての課題や問題点を、275校中142校と半数以上があげており、修学旅行を実施する上での差し迫った課題となっていることが伺える。交通費や宿泊費の高騰により自治体の定める上限額内に抑えることが難しい、保護者の金銭的負担が大きくなり不参加生徒が出ている、様々な家庭事情で積立金の増額も難しい、などのコメントから、これまでと同じ金額では、同じ内容での実施ができなくなってきている現状が伝わる。さらに、経済的な観点から修学旅行の在り方を根本から見直す必要性を強く感じる、という声もあがっている。 「旅行先・旅程」については、列車による移動時間の長さや、航空機利用の場合の不便さの意見が出ている。旅行先として最も人気の京都では、混雑がひどく、バスに乗れなかったり見学に時間がかかり過ぎるという問題が起きている。大規模校は、受入れ可能な宿泊施設が限られ、旅行先が限定されることや、体験活動場所の確保が難しいなどの意見がある。前例踏襲のコースや内容での実施ができなくなってきており、既定の方面ありきではなく、修学旅行を通して生徒のどんな資質・能力を育むかという、目的から修学旅行の内容を見直すタイミングが来ているのではと思われる。 「その他」の項目では、外国人観光客の増加で、宿泊施設の確保や、公共交通機関を使っての班別自主行動が難しくなったとの回答があった。また、小規模校の修学旅行を扱う旅行業者が減少して、見積り等の比較ができなくなったという学校もあった。コロナ禍の影響による旅行業界の人材・人手不足から、旅行会社の営業対応に変化があり、修学旅行にもその影響が出てきている。修学旅行の準備や実施にあたっての教員の身体的・精神的な負担について課題をあげる学校も見られた。国内修学旅行の実態とまとめ[中学校]
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