〝若狭富士〟と称される美しい三角錐の山を、人々は「青葉さん」とまるで人に接するように愛称で呼ぶ。美しい海と合わさったその姿は、高浜の風景を象徴する。 福井県と京都府にまたがった標高693mの青葉山は、かつて泰澄大師が参籠した伝説も残っており、その通り修験の山として近世まで女人禁制の山であった。その名残が今も散見され、霊験あらたかな場所であることを感じさせる。 修験者が修行にはげむことができたのも、この山が薬草の宝庫であったからだろう。この地は植物の北限と南限がちょうどぶつかる場所で、確認されているだけでも、現在約500種もの有用植物が自生されていることがわかり、学術的にも貴重な山であると認知され始めている。 歴史的にも深く、自然環境的にも貴重な存在。さらには比較的登山しやすいためにトレッキングスポットとしても人気が出てきている。さまざまな顔を持つ青葉山を深く知る旅に出かけてみよう。33
元のページ ../index.html#35