教育旅行2021年8月号 サンプル
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旧渋沢庭園と晩香廬・青淵文庫が、「渋沢×北区飛鳥山おみやげ館」横の「印刷所」で印刷してもらい(有料)、持ち帰ることもできる。隣のドラマシア出会い」というタイトルの迫力ある4K映像を視ることができた。〇一万円札のイメージの中に自分を取り込めて、それを持ち帰りできるという体験コーナーは、どの年齢層にとっても単純に楽しい。〇プリクラ感覚で楽しめて、できた画像は思った以上にお札の雰囲気が出ていて面白かった。階下の飛鳥山博物館は、ドラマ館の入館券の半券で見学できる。カキとハマグリの大規模な水産加工場とみられる中里貝塚の貝層断面の展示など、北区の歴史や民俗に関する充実した展示内容が評判だが、ドラマ館の開設期間だけ「渋沢栄一と北区」をテーマとする特別展示が行われている。王子に渋沢が初めて設立ターでは、大画面で「栄一と慶喜運命の分の顔が、オリジナル一万円札の肖像になるというここだけの企画。画像のデータはスマートフォン   うんいん     した洋紙製造会社「抄しし紙会社」に関すること、飛鳥山邸での海外や地域との交流など、地域の発展に貢献した渋沢の幅広い活動が紹介されているのでドラマ館と併せて見学することをお勧めしたい。3つの博物館の向かいが旧渋沢庭園だ。渋沢邸の建物のほとんどは昭和二〇(1945)年の空襲で焼失してしまったが、晩ば香こ廬ろと青せ淵え文庫(ともに国の重要文化財)の2棟だけがここに現存している。六(1917)年に渋沢の喜寿を祝って建てられた木造の洋風茶室で、国内外の賓客をもてなし民間外交の場とされた。バンガローが晩香廬の名の由来という説があるが、たしかに樹々に囲まれた中の、一見すると山小屋風で質素な建物だ。しか晩香廬は、大正ょうし内部を覗いてみると、机・椅子などの家具や調度の細部にまで凝ったつくりが認められ、さすがと思われる。芝生の広場に面して建つ青淵文庫は、レンガと鉄筋コンクリート造で大正一四年に竣工した2階建ての書庫。青淵は渋沢栄一の雅号だ。彼の80歳と子しく爵昇進を祝って建てられた書庫だが、接客の場としても使われた。正面に並ぶタイル貼りの柱、その柱間にあるステンドグラスが美しく印象的だ。なお、晩香廬と青淵文庫の内部は、渋沢史料館が開館しているときにだけ見学できるとのこと(事前予約制)。その他、旧庭園内には築山、茶室などの建物跡、庭石や石灯籠などが残されている。しっかり整備されているとはいえないが、歩いてみると当時の空気に触れたような気がしてくる。 ドラマ館の開設期間だけ営業しているという「渋沢×北区飛てみた。各種の渋沢栄一グッズのほか北区内でつくられているお菓子やソースなど様々なものが販売されていて思わず手がのびてしまう。飛鳥山には、渋沢栄一関係以外にも歴史や地形に関わるたく鳥山おみやげ館」にも立ち寄っしゃさんのエピソードがある。7つの散策スポットが設けられていて、それぞれの案内板にあるQRコードをスマートフォンで読み取ると解説が聴けるようになっている。大河ドラマ館などの見学を終えたら、これらのスポットを巡ってみることをお勧めしたい。つぎに参加者の全体的な感想をあげてまとめとさせていただく。〇私自身テレビドラマは全く見ない。大河ドラマの出演俳優の名もほとんど知らないが、それでもこの大河ドラマ館、飛鳥山博物館をはじめ、それに隣接し渋沢栄一が愛したゆかりの個所を回り、工夫を凝らした展示、説明や映像などを見て回るのは楽しかったし、渋沢栄一のことに大いに興味を持つことができた。〇「青天を衝け」を観ていないが、ドラマに関する展示を通して、渋沢栄一という人物についての概要がわかるという点で、興味深く見学できた。また、今後のドラマの展開に合わせて、展示内容も幕末からパリ万博編へ切り替わるということで、それも興味深いと思った。29  教育旅行 2021年8月号青淵文庫正面のステンドグラス晩香廬の外観 なりきり1万円札に保存できる散策スポットにある案内板

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