教育旅行2021年8月号 サンプル
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3  教育旅行 2021年8月号大宰府の防衛防さき人もりを配備し、緊急時の連絡手段として注2烽とぶ火ひを設置した。また、大宰府への外敵の進肄い城じょうが築城され、畿内へと通じる瀬戸内海の玄などを貯蔵した倉庫群を配置しており、籠ろう城じょうとしての機能を持つ。倭国(日本)が大敗を喫した白村江の戦い直後の天智天皇三年には、新羅・唐の侵攻に備え、対馬・壱岐・筑紫の守備として攻を遮断する水みず城き大堤を築堤した。翌、天智天皇四年には籠城機能を持つ大野城・基き関口には長なが門とじ城ょうを築城して北部九州の防衛体制を早急に構築する。特に、西海道の総監と対外交渉を担った大宰府においては、大野城―水城―基肄城を土塁および自然地形で連結し、大宰府政庁を防衛した。この様に、水城・大野城・基肄城は、大宰府を防衛する施設であると同時に、外敵の侵攻から倭国を守る重要な軍事施設でもあり、これらの遺跡からは当時の緊迫した東アジア情勢を窺うことができる。(文責・写真撮影=甘木歴史資料館副館長 小田 和利)※大野城跡の見学については、大宰府展示館へお問い合せください。【大野城跡】所在地:〒811-2105 福岡県糟屋郡宇美町四王寺アクセス:宇美駅から徒歩80分、都府楼(とふろう)前駅から徒歩60分、県【大宰府展示館】所在地:〒818-0101 福岡県太宰府市観世音寺4-6-1TEL:092-922-7811開園時間:9時~16時30分休館日:月曜日、12月28日~1月4日入館料:大人200円、高大生100円、中学生以下無料アクセス:西鉄都府楼前駅から徒歩15分民の森入口バス停から徒歩20分、太宰府駅から徒歩70分特別史跡大野城跡見学情報百間石垣(上)と北石垣城門門礎(左)太宰府口城門跡注1 門柱の下に敷き、門扉の軸受とする石または木の厚板。注2 古代の軍事施設。また、そこで火をたき煙をあげて行う、非常を通報するための合図。   (注1・2岩波書店発行『広辞苑』第七版)  

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